TOPDRAGON,Sley,Dae1コーチ 公式インタビュー
——VARRELは今回のアジア大会で旋風を巻き起こしたので、多くの人が「え、VARRELって強いチームだったの?」ってなったと思います。アジア大会、監督はどうでした?
Dae1: 正直、多くの方がベスト4には入れないと予想していたでしょうし、CRとFalconsのどちらかが落ちるなんてことが果たして起きるのか? と思われていたはずですが、私たちは期待していました。
——それがまさに実現したと?
Dae1: 特に、Sleyがジェットパック・キャットを正直誰よりも使いこなせていると思っていたので。
——あ、スニャンイ(Sleyの猫の愛称)?
Dae1: はい、スニャンイ。もう本当に見事でしたよ。
——猫のコツとかって何かあります?
Sley: 猫のコツ、これ意外とみんな知らないんですけど、別にリロードしなくても、SHIFTを使えば勝手にリロードされ続けるんですよ。
シフトしてる間に自動でリロードされるエムレのSHIFTみたいな仕様があって。それ以外だと、ウルトを使えばヒールされる、そのくらいですかね?
TOPDRAGON: あともう終わったから言える話なんですけど、Sleyが昨日から「マウガを使えば勝てる」ってずっと言ってたんですよ。
色々話したんですけど、マウガがEを使うと、その範囲内にいるチームメイトは与えたダメージに比例して50%ヒールされるじゃないですか。それを知らなかったみたいで。
だから、D.Vaとマウガが真っ向からぶつかり合って、その状況でマウガがEを押したら、実は相手のバスティオンが範囲内にいる限り、絶対に勝てないんですよ。
バスティオンのガトリングのダメージが全部ヒールになっちゃうから。でも「なんで壊れないんだ?」って。Sleyが「あれ、なんで壊れないの?」って。
終わった後に教えてあげたら「あー、どおりで壊れないわけだ」って。
——ちょ、ちょっと待って(笑)。
Dae1: コーチの表情を見てほしかったです。「私の苦悩がついに……!」って。
——もっと勉強しなきゃ。スキルがメインなのに。(笑)
Dae1: 僕のミスですね。把握できてなかった。
——コーチも知らなかったんですか?
Dae1: 僕は知ってたんですけど、選手たちが知らないっていうことを知らなかったんです。
アンランについて
——じゃあここで弁明のチャンスをあげましょうか。アンラン。
TOPDRAGON: 僕、アンランの件で本当にめちゃくちゃ叩かれたんですよ。
ZETA戦の時、「あいつなんでアンラン使ってんだ」「金積まれたんじゃないか」とか散々言われたんですけど、実はスクリム(練習試合)での成績は悪くなかったんです。
相手がD.Vaの時、D.Va相手の成績がそんなに悪くなかったので。
で、選択肢は2つでした。そのままトレーサーで行くか、それともアンランを出して盤面をかき乱すか。
結局、2個目のマップでProper選手がトレーサーを出したので、そこですでにパークが溜まっていて、それを考えた時に「あ、これはアンランでワンチャン変数を作ったほうがいいな」と判断してアンランを出しました。
アンランを出して、本当はそのままポジションを確保して、最初の当たりを五分の状況に持っていきたかったんですけど、そこで確かQloudがshu選手に頭を抜かれちゃったんですよ。
それでポジションを全部奪われちゃって、「あー、また押し返さないと……」って。
そこからまたトレーサーに持ち替えて出るにしても、ポジションは取られてるわ相手のパークは溜まってるわで……。
「アンランで少しでもパークを溜めて回してみよう」としたんですけど、一回スキル戦でミスって、そこからもう終わりましたね、正直。
——その「愛国行動(韓国チームに有利になるような動き)」についてはどう思ってます?(笑)
TOPDRAGON: そこまでではないですけど(笑)。
いや、ZETAっていう強敵相手に、最終セットでアンランを出すっていう判断のほうが勇気がいりますよ、正直。
誰一人予想していなかったピックを、決勝の最後、1対1の状況で出すっていうのは、ミラーピックをするよりもずっと精神的にきついと思うんです。
僕も本当にギリギリまで考えて、「救国の決断」を下そうとしたんです。
——救国の決断。(笑)
TOPDRAGON: そしたら愛国行動になっちゃって……(笑)。いや、これは違う、こんなはずじゃ……って。それで海外のファンからめちゃくちゃ言われたんですよ。
「PayPal(の送金履歴)を調査しろ」「銀行口座を公開しろ」とか。いや、そこまでじゃなかったんですけど(笑)。
——でも、いいですね。TOPDRAGON、すごくいい。チーム内で追求する選手のイメージってあると思うんですけど、あー、泣けてくるな。(笑)
Viol2t vs Sley
——続いて、今回Viol2t選手と戦ってみてどうでした? 想像通りの展開でしたか? それとも何かありました?
Sley: ランクマでミンギ兄さん(Viol2t)に結構ボコられてきたので、「大会で大丈夫かな」って思ってたんですけど。
1セット目に入った時、今日のミンギ兄さんはちょっと……おじいちゃんモードというか、ボケが来てて(笑)。
で、押し寄せてくる時にちょっと食らって。エスペランサでやった時に「あ、ミンギ兄さんの命日は今日だな」って。「今日がまさにその日だ」って。
勝った瞬間、「今日はミンギ兄さんを仕留める日だ」「今日から主従関係が逆転するんじゃないか」「今日こそ俺が頂点に立つ日だ」って思いました。
釜山の時も最初はバティストで出てたんですけど、バティストが終わってまたイラリー対イラリーになった時、そこからスタッツで負けてなかったんですよ。
実際、POV(個人視点)が公開されたら1対1でもかなりキル取ってたし。
ミンギ兄さんと対峙した瞬間に感じましたね。「今日は勝てる日だ」「今日は確実におじいちゃんモード入ってるな、あーボケてるな」って。
——じゃあ、もしかしてアンランのせいで負けたんですか?
Sley: ノーコメントで(笑)。
——愛国行動(笑)。
TOPDRAGON: あ、俺のせい?
——愛国行動をして、さすがTOPDRAGONは韓国人だったなと(笑)。これでバランスを取ってくれたわけだ。
Sleyの日本生活
——ところでSley、聞いた話だと今ほとんど日本に住んでるらしいじゃない。
Sley: はい、去年もそうですし、今年も日本にいる時間のほうが長かったですね。
——日本が大好きなんですよね? 監督。
Dae1: あー、本当ですよ。どのくらい好きかって?個人配信とか大会の時、Sleyの席の後ろにフィギュアが30体並んでるんです。
——あ、今回写真アップされてましたよね。あー、見た見た。その中からイチオシを紹介する時間をあげましょう。
Sley: 韓国の方には馴染みのない企業かもしれないので説明が難しいですが、「ぶいすぽっ!」っていうVTuberのフィギュアがあって。
その中の「猫汰つな」が一番好きだ、ということだけ知ってもらえれば。
——わー、全然分かんない(笑)。
TOPDRAGON: 実は今回、僕が日本に行かなかった理由の一つでもあるんですよ。
あいつが30体並べてる場所、僕の席なんです。フィギュアが展示されてる場所が、元々僕が座るはずだった席なんです。
——あ、じゃああの写真に写ってるのはSleyの席じゃないんですか?
Sley: 僕の席じゃないです。モニターに埃が積もってるあの席……。
——TOPDRAGONはどうして行かなかったの?
Sley: 実はTOPDRAGON以外の残りのメンバーはみんな日本でプレイしてるんですけど。TOPDRAGONも来ようとしたんですが、僕が「来るな」って言ったんです。
——なんで?
Sley: フィギュアを片付けなきゃいけないから。
——あ、それだけ!? 他に理由なかったんですか?
Sley: 「そこにいても大丈夫だから。フィードバックはするから。フィギュアを片付けるのが面倒くさいから来るな」って。
どうせ韓国でプレイしても日本でプレイしても遅延(ping)の差はそんなに大きくないから。
——それで来るなって言ったんですね(笑)。ちなみにその「推したち」の総額ってどのくらいなんですか? 30体くらいだと。
Sley: あー、そんなにしませんよ。7万円くらい?
TOPDRAGON: いや、10万はいってるでしょ。
Sley: いやいや、この子たちはそこまでしません。他の子のほうが高いんです。
TOPDRAGON: Sleyの誕生日にNicoが確か30万ウォンくらいのフィギュアをプレゼントしてたはず…
Sley: 『ソードアート・オンライン』っていう作品の「アスナ」っていうフィギュアなんですけど。
僕も悩んだんです。いくらプレゼントとはいえ、3.5万円くらいしたので「高すぎないか?」って。
そしたらNicoが「まあどうせ値段は似たようなもんだし、買ってやるよ」って、急に持ってきて……。
——Nicoキング、かっこいいね。監督はどう思ってるんですか?
Dae1: 僕も元々はそういう趣味はなかったんですが、子供たち(選手)を見て見習っている立場で……。
——先日、証拠写真を見ました。忠実に楽しんでいらっしゃいます。現場に行って直接楽しんでおられますよ(笑)
Dae1: 日本の生活がだいぶ満足なものになってきました(笑)
TOPDRAGON: チームを助けてくれって連れてきたのに、二人とも一日中秋葉原を掘り下げてて(笑)
二人とも……二人とも僕が連れてきたんですよ。このSleyとDae1の二人とも。
——じゃあ日本での生活はかなり満足されてるんですね。
Dae1: 僕はすぐ戻るつもりです。
——どこに?
Dae1: 日本に。
——もう戻ってくる気がないようです(笑) Sleyはどう?
Sley: 僕もチームメイトと一緒にすぐ戻ります。
——じゃあ、これを見てる韓国の有望な若手選手や、もしかしたら日本の助っ人を夢見ている選手たちに、「日本はここがいいぞ!」っていうアピールをちょっとしてあげてください。
TOPDRAGON: いや、日本に来るなら相当な覚悟を持って来なきゃいけませんよ。
これはもう包み隠さず言いますが、(韓国に比べて)遅れているリーグじゃないですか、実際。日本のパワーバランスや戦略自体が。
だから、来て「自分が何かを変えてやる」っていうマインドでやらないと、ただなんとなく終わって、何も得られないまま終わっちゃいますよ。
——だから強い覚悟で来なきゃいけないと。
チーム編成の経緯
ついでに聞きますが、最初にTOPDRAGONとSley、そしてDae1監督がVARRELに入った時、最初のVARRELの印象はどうでした?
TOPDRAGON: まずその経緯ですが、僕は確かGen.Gでの活動が終わって「あー、ちょっと休もうかな」って思ってた時にVARRELから連絡が来て。
その時、マネージャーが僕に「タンクとコーチ、誰を連れてきたい?」って聞いたんです。
——TOPDRAGONにその権限をくれたんですか?
TOPDRAGON: 「お前を獲るなら、タンク一人とコーチを連れてきていいぞ。誰にする?」って。
なぜなら、その時サポーターがMihawkとMimozaとQloudだったんですよ。
それで「誰にする?」って聞かれて。「でもタンクにはKSGがいるのに、あえて新しく獲る必要があるか?」って。
その時はサブタンクを獲れって言われてたんですよ。その時のタンク候補がAttackとRulerでした。
——え、こういう話していいの?(笑)
TOPDRAGON: 1年前の話だから大丈夫でしょ。
で、Attackを連れてこようとしたんですけど、Attackは「いや、僕は韓国でやりたい。夢を追いかけたい」って言ったので、それはリスペクトして。
じゃあRulerかなと思ったんですけど、Rulerは他に決まりそうなチームがあるとかで。
それで「じゃあタンクをあえて新しく獲る必要があるか? KSGは上手い。僕から見てKSGは本当にポテンシャルがある子だから、教えればいい」って言って。
KSGを残して、じゃあサポートは誰にしようかな……と思った時に、当時Sleyがランクマを本当に熱心に回してた時期だったんです。
配信も一日中やって。しかもSleyは日本語の資格を持ってるんですよ、こいつ。
——え、本当ですか?
TOPDRAGON: はい、日本語検定2級(JLPT N2)を持ってます。その時すでに取ってたんです。
それで「お前ちょっとテスト受けてみろ。チャンスが来たからテスト受けてみろ」って。
その時Sleyは配信中だったんですけど、僕がDiscordでメッセージを送ったら、急にSleyの口角が……頬骨が突き抜けるくらい上がって(笑)。
「バーガー(マクドナルド)でのバイト生活に終止符を打つ時だ」って(笑)。
最初、冗談だと思って信じてなかったみたいなんですけど、「俺マジでVARREL行くんだよ。お前もVARREL来るか?」って言ったら「ドリーム・カム・トゥルー」って信じられなかったみたいで。
それで「じゃあテスト受けてみろ」ってなったんですけど、テストの裏話まで話すと、テストの時にこいつ日本語が喋れなかったんです。
——え、本当ですか?
TOPDRAGON: 言葉が出てこなかったんです。久しぶりだったし、日本語のコミュニケーションなんてぶっちゃけ日本人と遊ぶ時以外しないでしょ。
だから全然言葉が出てこなくて。それで耳打ちで「Sley、何やってんだよ! 喋れよ! 喋らなきゃダメだ!」って。
それで2回目、3回目のテストまで行ったら言葉が出るようになった。お前の夢を叶えるためには喋らなきゃダメだぞ、と。
——そうですよね、チャンスは誰にでも来るわけじゃなくて、準備ができている者にしか来ない……なんて言いますが、準備はできていたのに実行ができなかったと。で、どうなったんですか?
TOPDRAGON: 日本語ができるから採用ってなって。で、コーチは誰を連れてくるかって時に、以前一緒にやったコーチの中でDae1兄さんが遊んでたんですよ。 ドリーマーズ(Dreamers)の時に一緒にやってたので。
——「遊んでた」んですか?
Dae1: 僕はその時、軍服務(兵役)を……。
——ちょっと、何その急展開(笑)。
Dae1: チーム合流は軍服務が終わってからだから、当然契約はできない状況だったんですけど、「待っててくれるか?」と。
——時期の問題だったんですね。
TOPDRAGON: それでDae1兄さんまで連れてきて、このロースターが完成しました。
——あー、もしかして「陰の権力者」ですか? VARRELの上のTOPDRAGON……(笑)。
TOPDRAGON: でも実際、僕は最善の選択をしただけですよ。当時の日本のチームの中で一番強くするために。
僕はこれまでずっと助っ人としていろんなチームを渡り歩いてきたので、強くなるために何が一番重要か分かってます。
強くなるためには、そのチームの母国出身の奴ら……例えばサウジのチームに行けばサウジの奴ら、そいつらが上手くやってくれなきゃいけないんです。
そいつらがダメなら、助っ人二人がいくら上手くても話にならない。
だから、せめて日本語が喋れる奴。僕も当時は日本語が弱かったので、せめて日本語ができる奴が必要だった。それがSleyだったんです。
Sleyはランクマも頑張ってたし、正直昔は良くない経験も多かったけど、上手くなったから。もう一度信じて「よし、お前やってみろ」と。
——じゃあ、SleyがVARRELに入った時の第一印象はどうでした? 全体的な雰囲気とか、実力的な部分とか。
Sley: 元々はPanthera(韓国のコンテンダーチーム)にいたんですが、Pantheraの時にちょっと「寄せ集め処理」をされちゃって……。
——今日やばいね、VARREL特集にして良かった(笑)
Sley: Pantheraの時、急にメインヒーラー担当にさせられちゃって。ブリギッテやってたんですけど、なんか中途半端になっちゃって。
アナの練習に来たのにアナをさせてもらえず、急にブリギッテ専みたいになってメンタル崩壊して休んでたんです。
「また復帰しなきゃ」って思ってランクマを回してた時、元々はWAYに行けるかもしれなかったんですよ。
WhoRU兄さんと一緒にランクマ回してて、「WAYで一回やってみるか?」って言われて。でも兵役の……諸事情があってダメになっちゃって。
「あー、本当に最後にもう一度やりたいんだけど、どこかないかな」って思ってた時に、TOPDRAGONがVARRELに誘ってくれたんです。
「頼む、頼むから無給でもいいから、マジで無給でもいいから入れてくれ! しかも舞台は日本だ、頼むから合流させてくれ!」って。
もうメンバーとか関係なく「頼むから入れてくれ」ってすがりついて。
——で、入ってみてどうでした?
Sley: 日本人選手たちは、僕が来たらすぐに日本語で話しかけてきてくれたので、僕が歩み寄ったらみんなも心を開いてくれて。
今、僕らのVlogを見てもらえれば分かる通り、完全にもう修学旅行気分で過ごしてます(笑)。
歌手Sley
——ここで一つ疑問なんですが、適応が終わってから試合中に余裕が出てきて、歌を歌っていた……なんて話もありますが、メンバーの反応はどうだったんですか?
Sley: みんな「いいよ」って言ってくれたんですけど、TOPDRAGON一人だけちょっと……。
TOPDRAGON: これ、語弊がありますね。みんなも嫌がってましたよ(笑)
Sley: いやいや、みんな好きだったって!
——嫌がってたの? 好きなフリをしてたの?
TOPDRAGON: いや、最初は一回二回なら良かった(笑)。一回二回なら「陽気に行こうぜ」って感じで悪くなかった。
でも後になって、大会中にも歌い出すから……。「あー、これ後に大きな大会に行って、雰囲気がガラッと変わった時に適応できなかったらどうしよう」ってちょっと心配で。
Dae1: 本当、目に見えてみんなが疲弊していく過程があったんですけど(笑)。最初は「いいね」って言ってたのに、TOPDRAGONの言う通りだんだん「あ、これやばいな」ってなって。
TOPDRAGON: 最後はみんな諦めて一緒に歌い始めました。
——同化したんだ(笑)。
TOPDRAGON: これ、本当に雰囲気が異質だったのが、大会の最中に僕らはガチでやってるわけですよ。
「誰々ロー、誰々ロー、行け行け行け!」って言ってるのに、こいつ一人で「どんぐりを〜♪」とか言ってるから、頭が本当におかしくなりそうで。
そしたら急にQloudが歌い出しちゃって。もう「あーもういいや」ってなって僕も一緒に歌って……完全に染まっちゃいました(笑)。
(一同爆笑)
——監督、これコントロールできてないみたいですよ(笑)。
Dae1: コントロールは本当に難しいので、「いっそ配信をつけてやれ、3分ディレイ入れて配信をつけてやれ」って言いました。マーケティングとして。
——失礼ですが、監督、チーム内での序列はどのくらい……。
Dae1: 僕がはっきり言えるのは、寝る前に洗い物があったら、僕が全部やらなきゃいけないってことです。
TOPDRAGON: ルールで決まってるのにやらないんですよ、こいつらが。だからDae1兄さんが洗い物してて……。見てて不憫でしたよ。
——不憫って(笑)じゃあ手伝ってあげようとは思わずに「不憫だな」だけ?
TOPDRAGON: いや、とりあえず自分が使ったものは全部やりましたよ、合宿の時。
「自分が食べたものは必ず自分で洗う」ってルールを決めたんです。でも、こいつはやらないんですよ。絶対。歌ばっかり歌ってて。
夜中の5時まで待つんですよ。待ってて、僕が寝ないと「Sley、皿洗わないの?」って聞くと「あ、今やる」って言ってやるんですけど……。
でもこいつが「うっかり」しちゃうから、Dae1兄さんが寝る前に見て「はぁ、もう僕がやるか」って言ってやるんです。
一つずつやってあげてたら教育にならないんだって。皿を洗わないのは兄さんのせいでもある。
Dae1: でも君たちはゲームさえ上手ければいいんだから。
——Dae1お父さんだ(笑)
Sley: いや、だから、本当は洗おうと思ってたんですけど。ゲームしてたら皿が洗われてるんですよ。
だから翌日も「あれ? また洗ってある」「ちょっと待てよ……」。
TOPDRAGON: ほら見てください。こいつ、「皿洗いの妖精」がいると思ってるんですよ。「あ、洗ってある!」「あ、洗ってある! これだ!」って。
だから僕が「(代わりに洗うの)やめてください」って言ったのに、兄さんが「いや大丈夫、大丈夫だよTOPDRAGON。僕がやるから」って。
Dae1兄さんに「大丈夫」って言ってやめさせるんじゃなくて、Sleyの癖を直させるために「やるな」って言ってるのに……兄さんのためを思って言ってるんじゃないんですよ。
——あの、監督すみません。会場に来たり、シーズン中のコーチングの仕事はどのくらいされてるんですか? 洗い物の話ばっかりですけど(笑)。
Dae1: もちろんコーチの仕事のほうが多いですけどね(笑)。でもスクリムが終わると、いつも洗い物を確認しに行きます。
TOPDRAGON: でもDae1兄さんがいなかったら、ここまでこれなかったですよ。
——どういう部分で?
TOPDRAGON: おべっかじゃなくて、本当にいなかったら……。チームの雰囲気作りとか、選手たちのメンタルケアとか。
まず雰囲気作りをしてくれる。過ごしやすくしてくれる。
でも、僕がDae1兄さんを誘った時の意図は、雰囲気をしっかり作ってくれて、リラックスできる環境にしてほしいと思ったからで。
その役割を完璧にこなしてくれて、満足しています。
——それ、ユニフォームですよね? 若干オーナーの風格が見えますが。足も組んで、社長の雰囲気が出てますよ。
(慌てて足を解くTOPDRAGON)
——なんで解くの、なんで解くの(笑)VARRELの社長がお父さんだったりするわけじゃないですよね?
TOPDRAGON: そういうわけじゃないですけど、仲はいいです(笑)
TOPDRAGONから見た一番成長した日本人選手
——ではTOPDRAGONが選ぶ「一番成長した日本人選手」は誰ですか?
TOPDRAGON: 3人とも本当に頑張ってくれたので、甲乙つけがたいですが。一番成長したなと思うのは、KSGですね。
一番応えてくれたと思います。でもNicoやQloudも負けないくらい頑張ってくれた。あと、今シーズン一番の功労者を選ぶなら、僕はSleyを選びたいです。
Sleyが、もうオーバーウォッチじゃなくてStarCraft(RTSゲーム)をやってたんですよ。
あの猫(ジェットパック・キャット)で、高いところから……あんなにIGL(ゲーム中の指示)ができるとは思いませんでした。あんな能力があるとは。
——RTSをやってたの!? 上空から?
TOPDRAGON: バスティオンを下に引き連れて、「アナ、前に出ろ」「後ろに引け」って指示出して。自分で前線に出して、引かせて。
バスティオンにも「スキル使え、スキル使え!」って。だから、「え、ここまでできるの?」って。
——なんで去年はやらなかったのに、今年からできるようになったの?
TOPDRAGON: 猫が実装されたからですよ。去年は僕がほとんど全部やってました。フィードバックも、インゲームのIGLも。
そんな感じだったんですけど、猫メタが来たら急にSleyのスイッチが入って…
本当にスタークラフトやってるみたいだったので、僕は楽でした。
「今行けばいいと思うんだけどな……」って思ってたら、急に「変身、変身! 変身しろ!」って(笑)。
Sley: みんな、いい感じになりましたよ。ナノとか、瓶投げろとか。スキルに対してもフィードバックするし。
TOPDRAGON: あと、インゲームでKSGが一回ミスるじゃないですか。例えば、アナが遠すぎるのにブースターで突っ込んだり、被弾しすぎたりすると、当たった直後にすぐ「おい、今被弾したからダメだった」「今のブースターダメ」「引かなきゃいけなかった」って即ダメ出しです。
——即ダメ出し(笑)。
TOPDRAGON: スクリムが1セット終わるたびにすぐ5分休憩入れて、リプレイで「真実の部屋」に行って即ダメ出し。
それだけ熱心にやったからこそ、今シーズンのMVPはSleyなんじゃないかと。
——ちょっと待って、それガスライティング(精神的支配)じゃないの?(笑)
Sley: 本当に健全なフィードバックでしたよ。横で見てたじゃないですか。
TOPDRAGON: 横で見てて、「こいつがおかしなことで攻めてるな」と思ったら止めましたけど、全部正論なんですよ。だから「正論だな」って。
——でも正論で「やったの、やってないの? やったの、やってないの?」っていうのはガスライティングじゃ……(笑)。
TOPDRAGON: いや、「やった、やってない」じゃなくて「行っちゃダメだった。行った、行かなかった? いや、ここは確実に行かなきゃダメだ」って。 だから「Sleyのフィードバック、上手いな」と。
——Sley将軍だから、戦略シミュレーションをしてたんだね。このハイパーFPSっていうゲームに、RTS(リアルタイム戦略)を掛け合わせたわけだ。
Sley: 猫は上から全部見えるから。別に銃撃ってるわけでもないし、ぶら下げてるだけだから(笑)。
それでやってるうちに、ちょっとミスが出ると「あー、ここ直さないとな」って思うわけですよ。
TOPDRAGON: 僕は地上にいるから分かんないんですよ。リーパーやトレーサーで相手のタンクを叩きながら、「あ、今アナ狙えるよ」って言うと、急にSleyが「待て待て待て、今だ! 今今今!」って。
そうこうしてるうちに、上空のバスティオン対決、ウルト対決で勝てば勝ち、負ければ負け。そんな感じで楽にやってました。
猫メタ限定なら「GOAT(史上最高)」は間違いなくうちのSleyですよ。
——猫をいつから使い始めたんですか?
Sley: えーっと、ブートキャンプが終わってから猫を使ってみたら、「あれ、これ意外と面白いぞ?」ってなって。
昔、「ナワバリ」っていうパークがあったじゃないですか。その時、僕だけが知ってたんですけど、Eスキルって普通はみんな持続スキルと思うでしょ。
でも、1ティック、2ティック、3ティック、4ティックなんですよ。1、2は遅いけど、3、4はすぐに繋がるスキルなんです。
それでコンボを決めて歩いてたし、今回はヒールも3、4ティック目をみんなにあげようと思って動いてたので、「あ、これ俺マジで猫一番上手く使えるわ」って思ってました。
——ちょっと待って、じゃあ世界で一番猫をプレイしてるのはSleyなんですね?
Sley: 猫は僕が一番プレイしたと思ってます。ブートキャンプ直後からずっと。
——だからこんなに習熟度が高いんだ。愛着ピックですね。
TOPDRAGON: でも、Sleyが「ご主人様」の好感度を得ようとViol2tのところへトコトコ行って、それ全部教えてあげたんですよ(笑)。
——あはははは! ちょっと待って、これ弁明必要じゃない?(笑)
Sley: でもミンギ兄さん(Viol2t)、忘れたみたいです(笑)。
1ティック2ティック、3・4ティックって教えたのに、特に使ってなかったんですよ。
だから「あ、忘れたな」と思って。
——忘れるだろうなと思って教えたの? それとも……。
Sley: いや、ただ純粋に自慢したかったんです。自慢ついでに教えたんですけど、ある瞬間から忘れたみたいで。
——じゃあ、教えてあげる代わりに見返りは何をもらったんですか?
Sley: 見返りは……
TOPDRAGON: 「デュオ券(一緒にランクマを回す権利)」
Sley: デュオしてもらいました(笑)。
——本当にファンミーティングだったんだね(笑)。監督、これ知ってました? 教えに行ったこと。
Dae1: 配信見てれば丸見えだったので。「教えちゃダメだぞ」って一回言ったんですけど、「どうせミンギは忘れるよ(笑)」って。
でも本当に忘れちゃって、こうしてまた話題になってる。
——じゃあ、VARRELがここまで完成するのにどのくらいかかったんですか? 監督。
Dae1: ほぼ1年ですね。
——1年? じゃあ去年の序盤から今までずっと、右肩上がりに作ってきたわけですね。
TOPDRAGON: そうですね。去年のステージ2から。その時から僕がVARRELでやりたかった第一の目標が「国際大会(世界)に行って勝つこと」。
本当に一度でいいから、まず勝つ。日本が国際大会で勝ったことが一度もないのを見てきたので。
そう、パシフィック(アジア大会)でも勝てなかった。セットすら取れるかどうかって言われてた。
だからどうしても勝たせてあげたかった。去年のEWC(Esports World Cup)の時は本当に必死でした。一度でもいいから勝ちたくて。
それで勝ちましたよね、あの時。勝てて本当に良かったです。
大会を振り返って
——今回のグループステージでプレイオフ進出を確定させた時、いろんな話が出ませんでした? 日本の現地のファンたちの反応はどうだったのか。
TOPDRAGON: あの時はみんな喜んでくれましたよ。めちゃくちゃ喜んでたし。あと言っていいか分からないけど……。
——言っていいよ。もう全部喋ってるから(笑)。ちょっとつついただけで全部出てくる。
TOPDRAGON: CRがわざと負けたんじゃないか、みたいな話もありましたけど、そんなの知るかって感じで。僕たちは本当に一生懸命やりました。
NicoのYouTubeやSleyのYouTubeにインゲームのボイスチャットが入った録画があるんです。それを見てもらえれば、僕たちがどれだけ真剣だったか分かります。
そうやって上がってきたからこそ、ZETAと試合した時もいい姿を見せられたと思うし。
負けはしましたけど、満足しています。ただ、初日の悔しさと2日目の悔しさは別物で。初日は「本当に勝てたはずなのに惜しい」っていう悔しさ。
2日目は「自分たちの実力が足りなかった。下手すぎた」っていう悔しさでした。今回のプレイオフは。
——VARRELのチャンピオンズ・クラッシュ進出の可能性はどのくらいあると思っていました?
TOPDRAGON: 僕は本当にあると思ってました。猫がいるから。
でもうちのチーム、精神面に問題があるんですよ。去年のEWCの時も、CRやROCとやったんですけど、CR戦ではすごくいい姿を見せられたんです。
コントロール1ラウンド取ったりして「これ勝てるぞ!」って。でもROC戦ではそこまでできなかった。
ストックホルムの時も、Falcons相手に勝ちそうだったのに最後で負けた。SSG戦は完敗でした。
今回もグループステージのFalcons戦はすごく良かったけど、CR戦はそこまでじゃなかった。
「負けてもいいから気楽にやろう」っていう試合は強いんですけど、「こいつらには負けられない、絶対に勝たなきゃいけない」っていう状況になると、プレッシャーで固まっちゃうんだと思います。それを次のシーズンどう直していくか。これが僕たちの大きな課題ですね。
——初日のZETA戦の時はどうでした?
TOPDRAGON: ZETAの時は「あー、負けてもいいよ」って。
——あ、本当? そんな感じだったの?
TOPDRAGON: 「ZETAに勝てるわけないじゃん」って感じだったんですけど。
コントロールやってたら「……あれ? ダメージ交換が成立するぞ?」「あれ、今日意外といけるんじゃね?」って。
コントロールを2対0で取って「あれ、今日そこまでじゃないぞ?」ってなって。ブリザードワールドでこっぴどくやられて「D.Vaメンタル削られたわー」。
で、3セット目のエスペランサで勝って「いや、本当にそこまでじゃないぞ、これ」って。
「じゃあ4セット目は?」ってなったんですけど、ハバナで勝たなきゃいけなかった。ハバナの、僕の夢に出てくるシーンがあるんですよ。
——え、本当に夢に出たんですか?
TOPDRAGON: 世界線がねじれたシーンが出ました。その世界線、教えますよ。
夢の中で、ハバナの第2ポイント攻撃の時、バイオレットがKSGにウルトを使って前に引き寄せた時、Sleyがすぐに追っかけてウルトを被せて、自爆で相手の猫が死にました。猫が死んで、D.Vaも自爆を食らってメックが脱げて……。
そこでうちのアナがペイロードを踏んで、Nicoがペイロードの上でバスティオンのウルトを使って、D.Vaがメカに乗るのを阻止して仕留めていれば……。
第2ポイントをタダで押し切って、ウルトを溜めて第3ポイントもテンポよく押して、最後にナノバスティオンかナノリーパーで押し切れば終わってた。
っていう世界線があるんですけど、現実はそうなりませんでした。
Sley: バスティオンのウルトについては言ったじゃん。「使え」って言いましたよ。自爆も使えって言いました。
猫も追いかけながら「KSG、自爆使え」って言ったし、Nicoにもバスティオンのウルト使えって言いました。でも、押さなかったんです。
——あー、聞こえなかったのかな。
TOPDRAGON: 押せなかったんでしょうね。集中しすぎて「ゾーン」に入ってたから。惜しいですけど。アナさえペイロードに乗っていれば……
まだやれたことはあったんです。ナノバスティオンとナノリーパーの選択。ナノバスティオンしてすぐ寝かされたんですよ。
だから僕が無敵が切れたのを見て「ナノリーパーくれ」って。ナノリーパーで、Properのナノリーパーを返り討ちにして一掃していれば……。
——状況自体はすごく良かった。でも向こうが超人的なプレイをしてきて。その間も「Sleyタークラフト」してたわけですよね(笑)。
Sley: 僕はウルト使えって言った時点で「あ、これ勝ったな」と思いました。「あー、これ押し切って、こうして、あー勝ったわ。ZETA食ったわ」って。
でも……。画面上ではメンタルやられてないように見えましたけど、実際はちょっとボーッとしてました。
TOPDRAGON: エスペランサで勝った直後、向こう側のZETAのCrustyコーチの表情が忘れられない。
——どんな表情でした?
TOPDRAGON: ニコニコ笑ってたのに、急にエスペランサ取られてUFC(格闘技)みたいな顔になってました(笑)。
——監督はどんな心境でした? 僕は監督がどうだったか一番気になります。
Dae1: エスペランサは、ピックの段階で準備していたマップではありませんでした。
でも、リジャン・タワーで「会話ができる」ことが分かった。「俺らハイブリッド(混成)得意じゃん? じゃあエスペランサに切り替えてみよう」ってやってみたら……。
——ハマったわけですね。……あの、Sleyさん、足元からさっきから何を取り出してるんですか?(笑)
Sley: ハイチュウ食べてます。
——机に出しちゃいなよ(笑)。
Sley: ハイチュウもう食べ終わったんで。
——もう完食したの!?(笑)
Sley: もっと食べるもの……。
——ありますよ。食べてもいいです。
Sley: いや、頼んだものじゃなくて(笑)
~次回に続く~
一部の情報は古くなっている可能性があります